2022年10月4日
株式会社ビズヒント
Visionalグループの株式会社ビズヒント(所在地:東京都渋谷区/代表取締役社長:関 哲)が運営する、生産性向上・組織強化・DXなどをテーマに決裁者向けのBtoBマーケティングを支援するプラットフォーム「BizHint(ビズヒント)」は、主な読者である中小企業決裁者に『自社のDX(本記事におけるDXとはIT/SaaSのテクノロジー活用における業務効率化)』に関するインターネット調査を実施しました。この調査から見えた、企業のDXの現在地、DX推進に求められるものなどを、中小企業のコンサルティングの専門家である、つづく株式会社 井領 明広氏の分析を踏まえてお知らせします。
■調査概要
・調査時期:2022年8月13日~9月12日
・調査方法:インターネット調査
・調査対象:BizHintの読者、かつ決裁者(部長・事業部長以上)
・回答者数:183名
■つづく株式会社 代表取締役 井領 明広氏
早稲田大学商学部卒業。NTT Data intra-mart社にてワークフローシステムの営業に従事。後、クラウド会計ソフトを扱うfreee株式会社にて導入支援、マーケティング、営業を歴任。2017年、SaaS導入支援に特化したつづく株式会社を創業。地方中小企業のデジタル化を支援する
・1年前と比べ、自社のDXが進んでいると感じている人は40%に満たない
・コミュニケーションツールは普及が進んでいるが、デジタルマーケティングやバックオフィス分野はまだ進んでいない現状
・DX推進に人材面の課題が浮き彫りに。また決裁者と従業員によるDXへの意識の歩み寄りも必要
「あなたの会社は1年前と比べて自社のDXが進んでいると感じますか?」の問いに対し、「とても進んでいる」と回答したのはわずか2.2%(4名)。「ある程度は進んでいる」と答えた36.6%(67名)と合わせても38.8%(71名)と、DXが進んでいると認識している決裁者は40%に満たないことが分かりました。働き方が劇的に変化する中で、特に中小企業でのDXはまだ道半ばであることがわかります。
先程の質問で「とても進んでいる」「ある程度は進んでいる」と回答した方を「進んでいる」に「あまり進んでいない」「全く進んでいない」と回答した方を「進んでいない」の2つのグループに分け、それぞれ「どの分野が進んでいる(いない)」のかを聞きました。その結果、「進んでいる」と答えた73.2%超(52名)が「チャット・コミュニケーションツール」分野に関しての進捗はあると回答がありました。導入や使い方が比較的簡単なツールの導入はハードルが低かったと考えられます。一方、「進んでいない」と答えた65.2%(73名)が「営業・マーケティングツール」の分野で進捗が鈍いと回答。バックオフィス系についても同様の傾向が見られました。レガシー化したシステムや古くからの慣習が残るもの、セキュリティへの懸念が強いものは、一気に刷新するのが難しいようです。
さらに先述の2つのグループに、それぞれ「自社でDXを推進するためには何が必要か」を聞いたところ、「推進可能な人材」の回答が、「進んでいる」と答えた方の67.6%(48名)、「進んでいない」と答えた方の52.7%(59名)からあり、ともにトップとなりました。DXを推進するには、ノウハウを持ち、力強くリードを取り、社内を巻き込める人材が必要であり、逆を返せば、そのような人材が不足していることが、特に地方の企業にとっては大きな課題だといえるでしょう。
また「進んでいない」と答えた方の多くは「動きやすい組織・権限体制」「従業員の協力」にも問題があると回答しています。担当者に決定の権限や組織サポートが与えられないと、DXの効果への懸念に対する説得や根回しなど、本質とは違う部分での業務を多数抱えてしまい、結果、推進力や影響力の低下が起こります。また、現場からも旧来のやり方を否定されたという思いからくる反発など、担当者は社内の上下からさまざまな抵抗を受けることがあります。
このことからも、DXは「推進するにふさわしい人材確保」を前提に、「社内全体が、積極的に新しいシステムへ対応する心構えを持つこと」も必要であるとわかります。DXを推進したい企業の決裁者は、まず経営層・従業員に「何のためにDXを行うのか?」という目的を示し、理解を得ることが必要でしょう。
また、自社での「DXの成功例・失敗例」を自由回答で聞いたところ、成功例は「時間短縮」「ブラックボックスの見える化」が多く出てきました。現状のDXは「分かりやすい効果が実感できている」段階と考えられます。加えてDXを通じていかに社内を良くするかをさまざまな立場で論じたことで、DX推進が上手くいき、会社の風通しや雰囲気も変わっていったという副次的効果も報告されました。一方、失敗例としては、コミュニケーション不足からの「経営層や現場の無理解」さらには「導入したものが思った以上の効果を上げていない」という意見が多く挙げられました。成功例・失敗例を並べてみると、DXはあくまで手段であり、やはり先程の通り、「何のためにDXをするのか」「DXをしてどうなるのか」という目的や到達点を示し、実行にあたっての責任の所在の明確な確認など、経営層や現場とのコミュニケーションを積極的に行うことが肝要と考えられます。
「DXの成功例(一部抜粋)」
社内を良くするためのコミュニケーションの発生
・現場のニーズをトップが支援したことで、使い勝手の良いシステム構築に成功した
・社員から問題解決方法を提案し続けたところ、上もその必要性に気づき、推進できた
業務効率化・時間短縮
・外部とのやり取りに時間の短縮が図れた
・代理店との情報やりとりシーンにクラウド活用をし、アイドルタイムの減少や、コミュニケーションそのものの効率化を図ることができた
業務の見える化
・営業面で運用を勧めた結果、売上の状況が見えるようになってきた
・従業員の勤怠管理、報告、人事管理など、コミュニケーションや決裁の視覚化などが進んだ
「DXの失敗例(一部抜粋)」
顕著な人材不足
・現場のデータ管理を端末で行う提案をしているが、推進者が不在、かつ予算もおりず、一向に進まない
・経営陣の無理解
・経営陣(役員)が消極的で具体的な内容についていけず、担当に丸投げ状態
・実務者への要求が多く、実現のスピードが上がらない
現場社員の協力体制不足
・各部署が個別最適してしまい、全社最適に難色を示している
・予想はしていたが、ベテラン社員からの協力が得られない
提供システムが要望に応えられないものだった
・意見を聞きながら導入したものの、結局は中途半端で使えないと判断され、利用頻度が低下してしまった
・各社別の指定請求書に対応できておらず、使えなかった
社内規定が足枷となり頓挫
・セキュリティレベルが厳しすぎて外で使えなかった
・システム化をする前の社内規程が複雑過ぎて進まなかった
■井領氏が分析する回答の背景 〜注目ポイント〜
企業のDXがトレンドとなり、「とても進んでいる」ないし「ある程度進んでいる」と回答する企業が数年前と比較し増大したことは、経済全体にとって、非常にポジティブなことです。一方で、真のDXの実現のためには、DX人材、ノウハウ、社内の推進者、モチベーション...など、「人」の部分の不足が顕著です。そのため今後は自社内、時には社外の人材・知見へアクセスし、どうやってこのDX人的資源を獲得していくかが2023年の大テーマとなると予想されます。
BizHintはこれからも日本最大級(※)の決裁者向けBtoBマッチング支援プラットフォームとして、このような読者のインサイトを分析した上で、サービスリード獲得・認知拡大・集客などのコンテンツ配信を中心にさまざまなソリューションを提供してまいります。
【クラウド活用と生産性向上の専門サイト「BizHint」について】
生産性向上、組織強化、DXなどをテーマに、決裁者向けのBtoBマーケティングを支援するメディアプラットフォーム「BizHint」。リード獲得・認知拡大・集客などのコンテンツ配信を中心にさまざまなソリューションを提供しています。
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【株式会社ビズヒントについて】
「本気でチャレンジする企業に『誇り』を。」というミッションを掲げ、日本最大級の決裁者向けBtoBマッチング支援プラットフォームを運営。中小企業経営者をターゲットとした会員制ビジネスメディア「BizHint」や、IT・クラウド活用を目指す経営者の情報ニーズに向き合ったイベントの企画・運営を通じ、DX推進、事業継承、組織改革といったテーマに関する実践的なコンテンツをお届けしています。
BtoBソリューション提供企業のマーケティング活動のパートナーとして、互いの持続的な成長を目指しながら伴走し、社会に新たな価値を生む中小企業向けBtoBマーケティングのリーディングカンパニーを目指します。
https://www.visional.inc/ja/bizhint.html
【Visionalについて】
「新しい可能性を、次々と。」をグループミッションとし、HR Tech領域を中心に、産業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するさまざまな事業を展開。「ビズリーチ」をはじめとした採用プラットフォームや、人財活用プラットフォーム「HRMOS」シリーズを中心に、企業の人材活用・人材戦略(HCM)エコシステムの構築を目指す。また、M&A、物流Tech、サイバーセキュリティ、Sales Techの領域においても、新規事業を次々に立ち上げている。